『感情類語辞典(増補改訂版)』で小説が進化する! 旧版との違いも

小説の感情表現が広がる! 執筆関連

☆★この記事では、書籍『感情類語辞典(増補改訂版)』の概要や実際の利用の仕方、利用例、旧版との違いについて解説しています★☆

小説を書くとき、登場人物の喜怒哀楽は必要不可欠な要素です。
しかし「嬉しかった」「悲しかった」「憤った」など、感情を直接示す言葉だけでは、どうにも幅が狭いものです。

また、使い慣れた表現を繰り返し使ってしまうのも、あるあるですよね。

遠野
遠野

「微笑む」「鼻をならす」「ため息をつく」「肩をすくめる」

なんかは、何度も使っちゃうんだよね……

そんなとき、非常に役立つ書籍があるんです!

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『感情類語辞典(増補改訂版)』THE EMOTION THESAURUS

  • 著者:アンジェラ・アッカーマン、ベッカ・バグリッシ
  • 訳者:滝本杏奈
  • 発行者:株式会社フィルムアート社
  • 発行日:2020.4/14
  • 978-4-8459-1922-2

この『感情類語辞典(増補改訂版)』は、小説を書くときに必ず用いる「感情」の表現についてまとめた辞典です。
通読すればいわゆる「語彙」を増やすことが可能ですし、実際に執筆している最中に辞典として使えばマンネリ表現を脱出できます!

以下で、具体的な使い方を解説します。

『感情類語辞典(増補改訂版)』の使い方

書籍の内容
項目「愛情」の”外的シグナル”

『感情類語辞典(増補改訂版)』では、「怒り」「驚き」「悲しみ」「期待」「好奇心」「熱望」など、あらゆる感情が項目として分類されています。
そして項目が五十音順に並んでいるので、感情名から表現のバリエーションを調べることが可能です。

例えば、「驚いた」ときの表現が思いつかなくて悩んだとき、あ行から項目「驚き」を参照してみます。
すると驚きの表現の中でも身体的な反応や精神的な反応、さらには驚きを隠そうとした場合にどういった仕草をするか、などが一覧にまとまっているのです。

あとはふさわしいものを選ぶだけ!

遠野
遠野

ふむふむ。
「驚いた」ときは体が硬直したり、目をぎゅっと閉じたり、
思考停止したり、息が詰まったりする、と……

ワンパターンになりがちな表現に変化が生まれること間違いなしです。

「増補改訂版」と「旧版」との違い

実はこの『感情類語辞典』、5年ほど前に初版が出て話題になりました。
そして増補改訂版は、表現が大幅に追加されてパワーアップしています。

具体的な追加点は以下の通りです。

  • 著者のよる感情表現のレクチャー部分がより詳しく実践的になった
  • 「愛情」「圧倒」「安堵」など、75項目に分かれていた感情の分類が、130項目に増えた
  • 各項目に「この感情を想起させる動詞」の具体例が追加
  • 各項目の感情の「発展形」*に加え、「後退形」*の感情を追加

*「発展形」はその感情が高まる過程で抱く類似感情を指す。「後退形」はその感情の原因が収束する過程に抱く感情を指す。たとえば「愛情」の発展形として「崇拝」「平穏」「満足」「欲望」が挙げられ、後退形として「感謝」「受容」「切望」「つながり」などが挙げられている

増補改訂により、場面場面でしっくりくる表現がさらに見つかりやすく、バリエーション豊富になっています。

実際に『感情類語辞典(増補改訂版)』使ってみると?

驚くアイコン
oh my……

では実際に『感情類語辞典(増補改訂版)』を使うと、どれほど文章が豊かになるのか、検証してみましょう。

【例文】

「どうしてこんなことに」
 画面上の表計算を見つめて、マリーは驚愕した。なんと、前任者が組んでくれた完璧なマクロが壊れていたのだ!
「こんな複雑な仕組み、私には直せない……」
 月例報告会は明日なのに。絶望する彼女を、隣のデスクのアンが慰めた。
「それがなくても計算はできるって。徹夜で電卓を叩けばいいだけよ」

この例文を書き直してみます。
表現は、『感情類語辞典』の「驚き/衝撃」「同情」の項目から選びました。

【修正案】

「どうしてこんなことに」
 画面上の表計算を見て、マリーは息を止めた。胃は重く、動悸が激しい。なんと、前任者が組んでくれた完璧なマクロが壊れていたのだ!
「こんな複雑な仕組み、私には直せない……」
 月例報告会は明日なのに。マリーは震える声で呟き、涙ぐんだ。隣のデスクのアンは、そんな彼女にチョコレートを差し出し、なだめる口調で言った。
「それがなくても計算はできるって。徹夜で電卓を叩けばいいだけよ」
遠野
遠野

やった! ちょっと小説っぽい文章になった!

感情類語辞典(増補改訂版)は小説書きのレベルアップに有効!

このように、『感情類語辞典(増補改訂版)』さえあれば、小説を書くときに「同じような感情表現ばかり繰り返してしまう」という悩みはほとんど解決しそうです。

ただとても便利な書籍ですが、ところどころ、感覚的にイメージしにくい表現もありました。

たとえば私たちが誰かに「感謝」したときに、「胸に手を当ててから感謝する人を指さす」あるいは「両手を尖塔の形に合わせて唇を押しつける」かと言われると……??

遠野
遠野

著者がカナダ在住&アメリカ在住の方なので、欧米的アクションが多い気がしたなぁ

でもむしろ、そういった雰囲気を演出したいなら参考になるかも?

また、この類語辞典はシリーズ化されており、以下のラインナップが展開されています。

  • 『場面設定類語辞典』
  • 『トラウマ類語辞典』
  • 『職業設定類語辞典』
  • 『性格類語辞典ポジティブ編』
  • 『性格類語辞典ネガティブ編』

執筆の悩みに合った辞典が、きっと見つかるはずですよ!

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