☆★このページでは、世帯の概念と世帯分離の方法、世帯分離をするとどういった影響があるのかについて説明しています★☆
「世帯分離をすると、住民税や国保、介護保険料、後期高齢者医療保険料が安くなる」と聞いたことがありませんか?
実際、世帯の状況によっては、世帯分離で各種保険料等が安くなることはあります。
一方、世帯を分離したことによって、書類手続き上のデメリットが生じる可能性もあります。
ただし毒親からの独立を考えている方にとっては、デメリットがメリットになるかも……?
以下では、そんな世帯分離のメリット・デメリットと、手続きの仕方などについて詳しく解説します。
ぜひ最後までご覧ください。
世帯分離(せたいぶんり)ってなに?

そもそも世帯(せたい)とは?
世帯とは、厚生労働省いわく「住居及び生計を共にする者の集まり又は独立して住居を維持し、もしくは独立して生計を営む単身者」のことです。
要は同じ家に住んでいる&生活に関わるお金を共有しているグループのことで、たとえ構成員が一人だったとしても、「世帯」と呼びます。
意外かもしれませんが、世帯を構成するのに、血のつながった家族同士であるかどうかは関係ないのです。
したがって、例えば同居している友人同士や恋人同士などが同じ世帯に入ることもできるし、それぞれが独立した単身世帯とすることもできます。
そして私たちの生活にとって主に意味を持つのは、「住民票上の世帯」だと考えておきましょう。
世帯を分離するって具体的にどういうこと?
あなたがこれまでに一人暮らしや結婚などによる引越しをした経験がなければ、通常、親の世帯に入っているはずです。
そこで、例えば引越しにより自分だけ住民票を他の住所へ移すと、新たな住民票にはあなたの名前だけが記載されます。
またあるいは、結婚して新たに夫婦二人のみの世帯を構成すると、自動的に親世代の住民票からは抜けることになります。
これが住民票上の世帯分離です。
世帯分離に関して、引っ越しは必須ではない
では世帯分離をしたい場合、引っ越しをして住所を変えなければならないかというと、実はその必要はありません。
引っ越しをせずとも、住所地の役所で世帯分離の手続きを行うことにより、同一住所内で自分だけの世帯を作ることが可能なのです。
つまり「同住所・別世帯」の状態ですね。
ちなみに世帯分離の際、現在の世帯主などの同意は特に必要ありません。
世帯分離のメリットとデメリット

メリット:住民税・国保・介護保険・後期高齢者医療保険料(税)が安くなるかも?
世帯分離そのものには特にメリットがありません。
ただし毒親からの経済的・精神的な独立を考えている方にとっては、親と住民票を分けられるというのはメリットになるかもしれません。
また副次的なメリットとして、住民税および各種公的保険の保険料(税)が安くなる可能性があります(必ず安くなるわけではありません)。
住民税を始め、国民健康保険や、後期高齢者医療保険、介護保険については、【本人の収入が少なくても】、【同一世帯内に】【ある程度の収入のある人がいる】と、そうでない場合に比べて保険料(税)が高額になることがあります。
言い換えると、「本人の収入だけを見れば住民税が非課税になったり、保険料(税)の割引が受けられる水準でも、同じ世帯に収入の多い人がいる=支払能力があるものと見なされ、割引適用外になる場合がある」ということですね。
そもそも前述の通り、世帯とは「生計を共にする人の集まり」のことなので、世帯全体の総収入で計算をするというのは、理屈が通っています。

とはいえ、なんだか損したような気になるのが人情……。
そんなとき、本人の収入だけを保険料(税)に反映させる方法があります。
そう、世帯分離です。
たとえ家族であっても、別世帯の人の収入が住民税や保険料(税)の計算に反映されることはないので、自分の収入だけならば割引等が受けられる場合に、有効な手段となります。
実際に世帯分離によって住民税や保険料(税)などは安くなるかどうかは、お住まいの自治体の市民税担当部署と各種保険料担当部署へお問い合わせください。
デメリット
世帯主の所得税や本人の保険料(税)の負担が増える可能性も
メリットとして、住民税と各種保険料(税)が安くなる可能性について説明しましたが、逆に損をする可能性もあります。
例えば現在、世帯主の勤め先の健康保険に入っている(扶養)場合、世帯分離を行うと扶養を抜けることとなり、新たに国保料が発生するのでご注意ください。
また、世帯主が所得税の申告に扶養控除を利用していた場合、世帯分離によって扶養控除が使用できなくなり、世帯主の所得税が高くなる可能性があります。
住民票や各種保険料(税)関連の書類をもらえるのは、世帯員だけ
一方、世帯分離後は、旧世帯の住民票や各種公的保険料(税)などの書類を取得することが難しくなります。
同様に、旧世帯の世帯員が、あなた(分離後の新世帯)の住民票や保険料(税)などの書類を取得することも難しくなります。
基本的にそれらの書類は、個人情報保護の観点から世帯員しか請求できないことになっているからです。
これらについては、通常はデメリットですが、毒親からの独立を考えている方にとっては、メリットになり得るかもしれません。
ただ、相応の事情(その世帯の人が病気などにより自分で依頼できない場合など)があれば、全く不可能なわけではありません。
世帯分離できないケースもあるので注意

なお、世帯分離できないケースというのも存在します。
世帯を分けるには、実際に生計が別々であることが条件だからです。
- 同一住所に住んでいる夫婦→法律上、夫婦は互いに扶助義務があるため
- 15歳未満の子ども単独→まだ自力で生計を立てることはできないと見なされるため
など
また、市区町村によって世帯分離の可否が分かれる場合もあるようなので、まずはお住まいの市区町村の役所へご相談ください。
ところで昨今の給付金関連で、給付が世帯主宛になされることで不利益を被った方がいると聞きます。(世帯主が世帯員の分の給付金を使い込むなど)

世帯主給付については、
実務上そうせざるを得ないのは理解できますが……。
そこで上記の世帯分離不可のケースに該当しない場合は、世帯分離をしておけば世帯主は自分になるので、対策として有効といえます。
世帯分離の手続き方法

では世帯分離の実際の手順を記します。
まず引っ越しをして住所が変わる場合についてですが、通常の転居(転出)の手続きを行えば自動的に世帯分離となります。
この場合、他に特別な手続きは必要ありません。
一方、住所はそのままで世帯のみ分けたい場合は、住所地の役所へ世帯変更届を提出します。
詳細は以下のとおりです。
- 窓口で手続きができる人:世帯分離をする本人、世帯主、法定代理人*(未成年者の親権者、成年後見人)、代理人* (本人の委任を受けた人)
- 届出先:住所地の役所(区役所/市役所/町役場/村役場)
- 持ち物:窓口に行く人の本人確認書類(マイナンバーカード、日本国発行のパスポート、運転免許証、在留カード、健康保険証、年金手帳など)、印鑑
*法定代理人は戸籍謄本や登記事項証明、代理人は委任状などが別途必要になります。

念の為、事前に電話などで持ち物を確認しておきましょう
世帯分離前にメリットとデメリットをよく確認しましょう
世帯分離は、比較的簡単に行える手続きです。
しかし手続きを行うと、住民税などが安くなる可能性があったり、逆に新たに国保料が発生して損をする場合があったりと、プラスなりマイナスなりさまざまな影響が出てきます。
世帯分離をしても再び世帯合併することは可能ですが、基本的に分離や合併をしたことによる影響をさかのぼって打ち消すことはできないので、事前にしっかり調べておくことが重要です。
ちなみに、すでに他の世帯が存在する住所へ引っ越す場合、その世帯に入るか、もしくは同住所・別世帯とするかを選ぶことができるので、転入手続きの際には確認しましょう。
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